芹霞の顔にあるのは…

再会した俺が欲しかった表情。


俺を…好きだという表情。


イマソレハダレニムケテイル?


どくっどくっ…。


血が…逆流しそうな心地。


焦慮感が恐れとなり、喚きたくなる。


「凜、余所見をするな…くっ!!!」


違うのかも知れない。

考えすぎなのかもしれない。


芹霞は玲を慕っていたんだ。

俺が妬く程。


あくまで今感じた違和感は、

俺の…不安からくる幻で、夢のようなもの。


芹霞が俺に気づかないから。


俺に言ったのに。


――紫堂櫂を愛してる!!


あれは…あの場凌ぎの物だったのか?


否定したい心が、眩暈をおこす。

ひらひらと風に揺れる手首の布が、虚しく思えて…吐き気がしてくる。


もしも――


セリカニエラバレテイナカッタラ?


もしも――


セリカガチガウオトコヲエランデイタラ?


ああ、視界が白ばんでくる。


もう…朝なのか…?