ぎゅっと…俺は芹霞の握った手に力を込める。
「凜ちゃん…大丈夫だよ。
久遠が、凜ちゃんを守ってくれるからね」
友情でもない。
ましてや同性愛の趣味などない。
それも久遠相手だと思ったら反吐が出る。
俺が守りたいのはお前だ。
「凜ちゃん以上に――
久遠は強いからね。
格好良いからね!!」
お前を守るのは――
久遠ではなく、俺なんだ。
じりと心が焦げる。
ああ、駄目だ。
暴走してしまう。
だけど今は――
そんな時ではない。
それはこの場面が語っている。
ここを抜けたら。
ここを抜けて屋敷に無事に戻れたら。
俺はこの女装をやめる。
元々久涅対策の為だ。
久涅が屋敷に居なければ、
俺が女の格好をしている必要はない。
まず…
きちんとした姿をしてから、
誤謬の…絡まった糸を解していこう。
本当は直ぐにでも、
この服を切り裂いてでも、
お前を紫堂櫂として抱きしめたいのだけれど。
今は――
判断を誤ってはいけない。
俺の想いよりも…芹霞を守らねば。

