「せりがこれ以上馬鹿になったら、たまったもんじゃない」
「ええ、でも久遠が寒く…」
「いいって言ってるだろ!!? 大嫌いな君にそこまでしてやってんだから、ありがたく着ろよ、せり!!!」
着て貰いたいわけだ。
自分の匂いがついたものを。
マーキング。
動物か、お前。
言ってることとやっていることが反対だ、お前は!!!
それに――
「……何で2人してオレを見てるんだよ」
俺は溜息をついた。
「久遠、どうしたの…中のその格好!!! 何でスーツ!!? 首のスカーフ!! 何そのモデルさんみたいな格好!!! ねえ、何でいつもあのやる気ないだらだらの格好じゃないの!!? ねえ、どうしちゃったの!!? 熱でもあるの!!?」
「俺がこんな服着たら駄目なのかよ」
俺から言わせれば、成金ホストだ、ホスト!!!
「駄目っていうか、久遠格好いいね!!!」
芹霞が感嘆の声を上げて。
イラッ…。
「元がいいものね、何でも映えていいね」
久遠の思惑通りなのが、余計イラッ…。
「せり。ティアラ姫とクラウン王子と凜とそのふさふさとオレだったら、どれが一番格好いい?」
勝ち誇った顔で、また選択を突きつける。
選ばれる自信があるとでも言うように。
こいつは、己の見栄の満足の為というよりは、俺の残念がる顔を見たいらしい。
立場は久遠が上だと、見せつけたいらしい。
悪意がひしひしと伝わってくるんだ。
視線が俺の布に注がれて。
布に対抗しているのか!!?
「…結構…悩む選択だね」
芹霞は唸るように言った。
「クラウン王子と同列かよ、オレ…」
落ち込め。
俺だって8年間、そうやってきたんだ。

