「師匠、どうしよう。ねえ、どうすればいいと思う!!? ボクでは…」
その時だった。
『緊急警報。
緊急システムをレベルZに切り換えます』
"約束の地(カナン)"の電力が20%を切ったらしい。
このままだと、この機械も停止する。
つまり"約束の地(カナン)"からは0と1の電力は消える。
僕の力の源は消え去り…虚数だけが増えていく。
「電気の統制が効かないと、やばいぞ。黄色い蝶を閉じ込めた場所が…」
「ああ、由香。そのことだが…破られたそうだ」
「え?」
「台所で旭に聞いた。蝶に襲われ気絶していた女を餌に蝶を誘き寄せ、電気の扉にて何とか閉じ込められていたのに、知らぬ間に中から女が逃げてしまったらしい。浄化の…クラウン王子を持って」
浄化の…クラウン王子って何?
「ああ、師匠。あの人類の敵である"ティアラ姫"そっくりの王子様さ。その被り物に久遠が浄化の術をかけていて、中に司狼と旭が入っていたんだけれどね」
芹霞…どうか王子様を見つけないで?
そっちに夢中になられたら…僕凹むよ。
「だけどさ、蓮。電気でバチバチと閉じ込めたあそこから、何で一般人が逃げ出せられるんだよ!!? ああ、それより…中に居た黄色い蝶はどうしたんだよ!!?」
「放たれてる」
「蓮、じゃあ鏡の力で…」
「鏡は…芹霞が持って行った。芹霞も使えるらしい。私のニトリクスの鏡が」
「何だって!!? 神崎も!!?」
由香ちゃんは僕を見る。
「なあ…神崎、小猿くんの鏡も使えるし…偶然かな?」
「……何とも言えないね。蓮、その鏡はどうやって手にしたモノなんだ?」
「あ、ああ…。レグ…白皇からだ。元々は久遠様に与えようとしていたらしいが、久遠様は鏡を使えず…私だけが何故か使えたんだ」
白皇の持ち物…か。

