シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「ああ、蓮。世話になったな」

「久遠様の言いつけだ。気にするな。まあ、元気になって何よりだ。…あんなものでよく…ぶつぶつ…」


最後がよく聞き取れなかったけれど。


「中継?」


「ああ、『流行飛びつき隊』というTBSの番組中継で、久遠様が久涅と報道陣を大勢連れて向かわれた」


『流行飛びつき隊』…。


何て縁がある番組なんだろう。



「久遠様曰く、報道陣は久涅に連れられて、"天使の飼育場"から消えたらしい。それはショッピング街の外れにある。そして久涅は…ミラーハウスに向かった。ああ、丁度…この軌跡を描いているはずだ」


蓮が、画面の電気消費量の移動する軌跡をなぞった。


「久涅が…関係してるのか?」


由香ちゃんの固い声。



「久涅が消えた後の"約束の地(カナン)"…ショッピング街の蛆と蚕は酷かった。道脇の報道陣の口から吐き出され…報道陣を消してもまた報道陣が増える」


僕は目を細めた。



「久遠様が首を刎ねても増え続ける。報道陣と…スクリーンが」


「「スクリーン?」」


僕と由香ちゃんが同時に声を上げた。


「ああ、何故か…Zodiacの曲と、それ関係らしい映像が流れていた。そのスクリーンも破けば破くほど増え続ける。まるで無限回廊のように」


「え!!? 3枚設置予定だったじゃないか。スクリーンも何かあるのか!!?」


そう由香ちゃんは言うけれど。


S.S.Aでのことを思い返せば、それはきっと…偶然ではない。


それは意図的。

それは必然。


多分、Zodiacの曲で…蝶は現われた。


そしてスクリーンからも、虚数は放出されているのだろう。