シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「だけど榊兄のわけないよ!!! だって0と1なんて判ってないし、何よりまだ入院しているはずだし」


「そう…だよね…」


じゃあ誰だ?


電脳世界を知れるのは、僕以外に誰がいるんだ?


「それからさ、その警告…ネットに繋がっていない、デフォルト状態で起きたんだよ。そんなコトできるの…師匠以外に誰がいるんだよ!!?」


遠隔操作にて、0と1を言語に変換出来るなんて。


「だけど…その警告通り、確かに電脳世界は危険だ。電脳世界は…虚数に満ちている」


「虚数?」


「うん。0と1以外の、ありえないものが入り混ざり…増殖している。まるで生き物のように、0と1を摂取して…-1となっている。だから二進法が崩れ、僕の力にも変換出来ないし、此の地で由香ちゃんが僕に連絡出来なかったのも…多分…」


そうだ。


電脳世界は…"約束の地(カナン)"と外界を繋ぐ世界。


ヘリからの落下時、僕は此の地でも虚数を感じた。


虚数は、正常な電気…0と1を食らう。


「もしかして…電気の消費量が激しいのは、虚数も関係があるのか」


僕は大画面を睨み付けた。


6時半。


それは…ショッピング街から始まり、遊園地方面に移動し、時計台付近に戻ってきている。


「6時半前後…ショッピング街には何が起きていたんだ?」

「さあ…? ボクはずっと此処にいたし…」




「中継が入ったはずだ」



突如声がして、振り返れば蓮が立っていた。