シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「多分、その移動している"何か"のせいで、ここまで電気食っているんだよ。信じられないことだけれど、遊園地全体の消費量以上の電気背負って動いている」


「………」


「思えばさ、"約束の地(カナン)"の電気はおかしいんだよ、師匠。今まで師匠に連絡出来なかっただろ、ボク。外界からは"受け取れる"けれど、外界に発信出来ない。遊園地になった時はこんなんじゃなく、外界同様な普通の状態だったろ?

数日前だって、ボクが蓮にメールしてデータ送って、蓮から返事返ってきて今後を打ち合わせしていたくらいだ。

何か…異常起こっているのか、電脳世界に」


真剣な面差しで、由香ちゃんが僕を見た。


「師匠、警告くれたろ? 電脳世界に気をつけろって」


「――は?」

「――へ?」


僕達は、驚いた顔を見合わせた。


「僕が由香ちゃんにメッセージを送ったのは、ゆんゆんの時で…」


思い出してしまった。


恐怖のゆんゆん…。


「ああ、あのおかげで、師匠を殺さずにすんだよ…って!!! それじゃなくさ、氷皇のデータ消失時、0と1の暗号でボクに警告くれただろう、師匠」


「してないよ、何だよそれ…」


電脳世界に…気をつけろだって?


僕は…記憶が無い。


「はああ!!? でも"タマの声は声優か効果音か"って、そこから始まったぞ!!?」


「僕は、"ジャイ子の本名に謎がある"っていうのしか送ってない」


途端、由香ちゃんがムンクの叫び状態になった。


「じ、じゃあ…それを言ってきたのは誰だよ!!? ボクはてっきり師匠だと思ってたのに!!!」


何で…由香ちゃんとの"取り決め"が外部に漏れる?


「…由香ちゃん。僕との"取り決め"、誰かに言ったかい?」


「いいや、ボクは言ってない。……けど」


由香ちゃんは、眉を八の字に下げた。


「けど?」


「師匠との"取り決め"は、ある種…アニオタの"謎"じゃないか。だからただのアニオタとして…その答えがどうだか、笑いながら聞いたことがある」


「誰に?」


「……兄貴。元気な時の」


榊か。