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「師匠、大丈夫か!!!?」



目覚めれば――

不安げな顔。



「ボクが判る!!?」


この顔…由香ちゃん?



夢…だったのか?

今度こそ本当に、夢から醒めれたの?


由香ちゃんが居る現実…。


此処は"約束の地(カナン)"…だよね?



「師匠、良かった~ッッッ!!!

久しぶりで師匠が瀕死なんて洒落にならないよ!!!」


由香ちゃんは、僕の首根に上から抱きつくようにして、おいおいと泣き始めた。


「ああっと…ごめん」


そして僕から身体を離して、泣き崩れた顔で無理矢理笑う。


「久遠が師匠と神崎を連れて屋敷に戻ってきた時、師匠の容態は安定していて、一応安静にさせて寝て貰っていたんだけれど。突然師匠が魘(うな)されて…発作を起こしたんだ。

発作は軽度らしかったんだけれど…師匠が幾ら起こしても目覚めなくて。終いには、身体を逸らしたまま硬直して痙攣まで起こしたから…どでかい発作が来るかと冷や冷やしてとにかく早くと…師匠を起こしてたんだ…」


そんなに…過剰反応していたのか、あの夢に。

命取りになる発作が起きなかったのが奇跡的。


痙攣までしていたのなら、確実にそれは死に近い発作を引きおこすはず。


僕に…まだ生きろということか。


しかし――

まだ夢の名残が、不安となって心に拡がって。


久々に見た夢というものが、僕の…顕在意識にまでのぼる恐怖心を具現化したものなんて嗤えてくる。


まだ僕は夢から覚めきれない。