「玲…」


後ろに、煌が立っていた。

風に…橙色の髪が揺れる。



「俺と芹霞には、櫂でも手出しできない…絆がある。


お前は…何か"強み"があるのか?」



煌の嘲笑。



「「お前など――

芹霞が選ぶ筈ないだろう?」」



笑う。

笑う。


何処までも僕を馬鹿にした笑いが響く。



――レイ…。


煩い!!


――カワイイレイ…。


黙れ!!!



僕の目からは涙が零れていた。


悔しい。

悔しい!!!



僕だって、僕だって…芹霞に愛されたいんだ。


僕だけの絆を持ちたいんだ。


ワカッテルノ、キズナガナイコト。


僕の傍に居てよ。

可愛い顔で僕の名前を呼んでよ。


櫂を…選ばないでよ!!!


モウオソイ。


ぽたぽたぽた…。


ココニツレテキタノハ…


流れ落ちる涙が、真紅色に変わる。


オマエダ。



そして胸に激痛。


胸からも染み出ている真紅色。


吐き気がして蹲れば…

口から出たのは…真紅色。