その鎌は血塗られたものなれど…それを手に抱く久遠の姿は、神々しくて美しいと思った。
口も態度も悪いし、いつもだるだるしていてやる気もないけれど。
気まぐれで何処吹く風で、いつも飄々として掴み所のない男だけれど。
いつもいつもあたしを馬鹿馬鹿と見下す、オレ様男だけれど。
あたしは、神楽を舞った…綺麗な久遠の姿を思い出した。
あの時感じた神秘的な神々しさは、きっと久遠の本来の質。
その精神は――
きっと誇り高くて高邁なままなんだ。
13年前――
あたしを救ってくれたあの姿と、何1つ変わっていない。
あたしはそのことに感動して、胸が締め付けられる思いがした。
久遠が初恋で良かった。
あたしの目に狂いはない。
おかしな人を好きになったわけではない。
そして思う。
ねえ…。
いつからあたしの初恋は、
過去になってしまったの?
13年前と変わらない久遠がそこにいて、
どうしてあたしは…?
――…ちゃあああん!!!
どうして現在進行形ではないの?
あんなに…
あんなに…
あたしの永遠を久遠に捧げていたというのに。
その思考を裂いたのは慌てたような久遠の声。
「せり、大丈夫か!!?」
気がつけば、大鎌は何処かに消えていて。
「大丈夫、ほらッッッ!!!」
あたしは笑顔で、バックを見せた。
戦利品だ。
久遠のおかげだ。
そう思って、久遠の面前で嬉々として、鞄をぶんぶんと振ったのだけれど。
「違う。オレが言ってるのは、せりの身体だ。紫堂玲を助ける薬なんてどうでもいい!!!」
「いや、どうでも良くは…」
「いいんだッッッ!!!」
そして久遠はあたしに飛びつくようにして、あたしの身体をふさふさに埋めさせた。
「13年前のような…
あの思いだけはさせないでくれ」
13年前。
「せり…勝手に逝くなよ。
せりに残されたら…オレは…」
久遠……?

