ひいいいいいッッ!!!?
何で落っこちてばっかりなの、あたし!!!?
「せりッッッ!!!」
久遠が、ほぼ垂直になった木を上から伝い、駆け下りてくる。
凄いや、何この人…。
「せり、手をッッッ!!!」
横から伸したあたしの手を掴んで力一杯引き寄せると、反対の手で崩れる木肌を叩くようににして逆に宙に飛び上がり、くるりとあたしごと宙返りをして、音を立てて崩れ落ちた大木の上に、時間差で飛び降りた。
「久遠、久遠!!! やばい、次々に…木が!!!」
更に真上から、地殻の震動に耐えきれない大木が、まるで狙いすましたかのように、あたし達を目がけて落下してきた。
駄目だ、逃げ切れない!!!!
「せり、頭を抱えて身を屈めろ!!!」
反射的にその通りにしたあたしの耳に、
シュンッッ。
シュンッッ。
そんな音が聞こえたかと思うと…
「え!!!?」
大木があたし達を弾くようにして、外側に崩れ落ち…積み重なっていく。
あたしの頭上には覆い庇うかのような久遠の身体。
そして久遠の片手には…大きな刃物。
死神のような…大きな大きな鎌。
かつて久遠を縛り付けた…
忌まわしきその鎌が、あたし達を救ったのか。

