シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久遠の警戒心を解く為に、東京で起こった不可解な出来事を端的に説明したあたし。


「――でね、クマは玲くんとあたしを乗せて、ヘリを操縦して此処まで連れてきてくれたの。だけど突然、この地に居た極悪非道の奴にヘリ落とされてさ…そうだクマ、犯人の特徴とか判らない!!!?」


怒り再発。


『お? 犯人の姿は見えなかったけれど、飛んで来たのはカマ「せり!!!」


突然久遠が声を荒げた。


「久遠のせいでよく聞こえなかったじゃないの。ごめん、クマ。何が飛んで来たって…?」


証拠品発見しないと。

あたしは両手を腰に当てて、再度尋ねた。


『おう。まるで死神みたいな大きな「せりッッッ!!!」


また久遠に邪魔された。


あたしは口を尖らせる。


「聞こえないじゃないの、久遠のせいで!!!」


「ヘリが墜落したのなんてもうどうでもいいだろ!!? それより何であの男が、クラウン王子の姿で此処に居るのか、あの曲を流していたのか、聞く方が先決だろ!!?」


ん…。

正論かも知れない。


いや、正論だ。


過ぎ去ったことに拘る暇はない。


「それにせりは捜し物をしてたんだろ!!? 紫堂玲の薬!!!」


「そうだ、早くお薬も見つけなきゃ!!!」


さて、優先すべきは何にしよう。

薬かな?


そう思った時、


『これくれたのは…嬢ちゃんかと思ったが、その反応なら…ただの嬢ちゃん似の女の子だったんだな』


「え?」

クマ男は、おかしなことを語りだした。