久遠の警戒心を解く為に、東京で起こった不可解な出来事を端的に説明したあたし。
「――でね、クマは玲くんとあたしを乗せて、ヘリを操縦して此処まで連れてきてくれたの。だけど突然、この地に居た極悪非道の奴にヘリ落とされてさ…そうだクマ、犯人の特徴とか判らない!!!?」
怒り再発。
『お? 犯人の姿は見えなかったけれど、飛んで来たのはカマ「せり!!!」
突然久遠が声を荒げた。
「久遠のせいでよく聞こえなかったじゃないの。ごめん、クマ。何が飛んで来たって…?」
証拠品発見しないと。
あたしは両手を腰に当てて、再度尋ねた。
『おう。まるで死神みたいな大きな「せりッッッ!!!」
また久遠に邪魔された。
あたしは口を尖らせる。
「聞こえないじゃないの、久遠のせいで!!!」
「ヘリが墜落したのなんてもうどうでもいいだろ!!? それより何であの男が、クラウン王子の姿で此処に居るのか、あの曲を流していたのか、聞く方が先決だろ!!?」
ん…。
正論かも知れない。
いや、正論だ。
過ぎ去ったことに拘る暇はない。
「それにせりは捜し物をしてたんだろ!!? 紫堂玲の薬!!!」
「そうだ、早くお薬も見つけなきゃ!!!」
さて、優先すべきは何にしよう。
薬かな?
そう思った時、
『これくれたのは…嬢ちゃんかと思ったが、その反応なら…ただの嬢ちゃん似の女の子だったんだな』
「え?」
クマ男は、おかしなことを語りだした。

