「...おい」 薄暗い森の中、綺麗な声が響いた。 それは間違いなく、立ち止まった私の主の声。 「何でしょう」 続いて響いた声も間違いなく、私の声。 蓮様がお声を発するのは、凄い珍しい事だ。 そして、歩みを止める事も。 「...」 しかし、蓮様は続けて喋ろうとはしない。 「蓮様?」 もう一度声を掛けると蓮様はようやく口を開いてくれた。 「...人だ」 「人...ですか?」 こんな森に居るのかと、疑問を抱いたが、蓮様の3歩後ろにいた私は前に歩き、蓮様の前方を見た。