「……」 何分もそうしていたような錯覚を起こすけど、実際は数秒しか経ってなかったと思う。 ハッと現実世界に戻る。 彼もこっちの世界に戻ってきたようで、私に向かってクスッと笑った。 彼がゆっくりと口を開く。 そして、口が動く。 ぱく、ぱく、ぱく、ぱく。 「………?」 何? 首を小さくかしげた。 読唇術なんて、私身に付けてないからわかんないよ。 すると、再び動く彼の口。