「ありがとう」
彼は私の手からチョコレートを受け取り、包みを開けて口に放り込む。
「うん。うまい」
「それは良かったです」
私は笑顔を彼に向けた。
「…君の雨は去ったかな?」
「………たぶん」
ビックリするほど、気持ちがスッキリしていた。
…鼻声なのは、ご愛嬌。
また少し経ったら思い出して、辛い気持ちになるのかもしれない。
でも、その時はまた思う存分泣けばいい。
「それなら良かった。うん、やっぱり君は笑顔が一番」
「へっ?」
「泣き顔もかわいかったけど」
「!!」
「…なーんて。口説いてるわけじゃないよ?」
私をからかうような、悪い笑み。
その表情に、ほんの少しだけドキッとしてしまった。

