………
シトシト…
どのくらい泣いてたんだろう。
空一面を覆っていたどんよりと重い雲が、いつの間にか去り始めていることに気付く。
雨も弱まっていた。
私は濡れたハンカチで気持ち目頭を拭い、鼻をズズッとすする。
…はぁ…よく泣いた…。
泣きすぎて、頭、痛い。
知らない人の前で、こんなに泣いてしまうなんて。
知らない人、だからこそ、泣けたのかな…。
彼にそっと目を向けた時だった。
……ぐぅ~。
「!」
彼のお腹がなった。
彼の顔を見ると、少し恥ずかしそうにペロッと舌を出して笑っていた。
その姿がかわいくて、つい笑ってしまう。
「ぷっ。お腹すいてるんですか?」
クスクスと笑ってしまって、なかなか止まらない。
「この雨のおかげで昼、食いっぱぐれてるからね」
「なるほど…あ、そうだ」
「ん?」
彼は私の言葉に首をかしげる。
確か~…カバンの中に入ってるはず。
カバンの中を探る。
発見。
「…これ。少ないけど」
彼にチョコレートを渡した。

