「好きだったの」 「うん」 「ずっと、ずっと、好きだった」 「そうだね」 「―――っ」 もう、声が出せない。 彼の手が私の頭から離れる。 そして彼は私から目を離し、雨を見つめながら言う。 「………泣けよ。思いっきり、泣け」 その言葉を言われた瞬間、堰を切ったように流れ出す、私の涙。 彼は私が思う存分泣けるように、一定の距離を取ってくれてるんだ。 「………う…っ」 私は子供のように泣きじゃくった。 ザー… 雨が強くなる。 全てを、洗い流してくれるかのように。