ＴＩＭＥ ＷＡＲ

渉君はどうやら遊んできた帰りのようだった。
夏用のジャージをオシャレに着こなしていた


「渉君、帰る？」


「え？うん帰るけどそれよりさっき何で１人で話してたの独り言？」


やっぱり渉君には１人に見えていた。ていうことは信平は結局、嘘つきだったんだ


「渉君にだけ教えよっか？」


夏だし、幽霊の話はちょうど良いじゃない
渉君の隣に立って歩く


渉君は重そうに自転車を押していた


「独り言の理由？」


渉君はちょっと不安気な顔をしていた


「そう、幽霊とはなしてたの」


相変わらず重そうに自転車を押している渉君の数歩前を歩く


渉君は俯いていた


「そっか……チャコ幽霊と話せるんだ羨ましい」

私は渉君の雰囲気に足をピタリと止めた
渉君は少し信平に似てる

「会いたい人でもいるの？……」


悲しい瞳の感じが。
ただ渉君は感情豊かだと思う


「死んではないけど、意識無いから」


私は何て言えば良いかわからなかった。
だってどんな言葉をかければいいのか


どんな顔をすれば正しいのか私にはわからなかった


「ね、チャコって家こっち？」


困った私に気づいたのか渉君は話題を変えた。
渉君は良い人なんだ


「うん、川の向かい」


渉君はニコッと笑って俺もっ！といった
渉君の笑顔はきっと周りの人まで笑顔にする


私は笑顔になりながら下を向いた


「俺、……」

渉君の声に顔をあげる。 渉君は悲しい顔をしていた


「どうし……？」
でもそれは一瞬ですぐに渉君は笑顔に戻った

「あ、川いきたいなと思って！」


「じゃあ、私も行こうかな暑いし」


渉君は私の荷物を自転車のカゴに乗せてくれた
優しい……。


何か言い掛けてたのなら言いたくなるまで聞くのはまとう


水面がキラキラ光る
渉君の自転車を河原に置いて靴を脱ぐ


「え、チャコ入るの？」

ガチャンと自転車に鍵をかけていた渉君は靴下を脱いでいる私を見て不思議な顔をした


「こんなにキレイなのに入らないともったいないよ……まぁ、ただ暑いだけ」


長い髪の毛を持っていたヘアゴムで一つに束ねる 渉君はぽかんとしていた

背を向けて私が歩き始めると慌てて後ろをついてきた


「渉君は、はいらないの？」


って聞くまでもなかった。振り返ると準備万端だった