カフェへ着いた途端、隅っこの席を陣取って永久はテーブルに突っ伏す。
2人分のアイスコーヒーを運ばされて遅れて席に着いたあたしは、仕方が無いのでまた携帯と睨めっこを始めた。


指折り数えて6日。またため息だ。
いつもならしつこいくらいにあたしの携帯を鳴らす相手が、音信不通になって6日。

最初の3日くらいは「忙しいのかな」なんて悠長に構えていたあたしも、さすがに心配にもなってくる。何かあったんだろうか?そんなこと、今目の前で気持ち良さそうに寝ている奴に聞けばわかることなのだけれど。


「何やってんの…バカ」


中学に入学して直ぐに告白されて、気がつけばもう丸7年。長いのか、短いのか。あいつが高校を辞めてしまうまでは毎日会えていたのに、2日1回、3日に1回とだんだん会えなくなって、最近は会うことさえままならない。


窮屈だ!
そんなに仕事が大事か!?


とは思うけれど、この7年間の間で「別れたい」と思ったことは1度も無い。実に優秀な彼女じゃないか。そんな彼女を放ったらかして、バカな彼氏は何をしていることやら。あたしの前でも、仕事が恋人とでも言うつもりだろうか。


「ホント…面倒くさい」


付き合うことが、ではなくて、周りに渦巻く色んな想いが。

その中には、勿論あたしの想いも込められているのだけれど。知っているところや知らないところ、あたしには全く関係ないところでもその想いは本人の意思には関係なく一人歩きをする。

嫌だ。
もうこんな想いを抱えて過ごす日常は。