「うわっ…マジかよ。オマエ最悪」
「えっ!?何でよ」
「オマエも優希と一緒じゃねぇかよ」
「ちょっ!誤解しないでよ?あたしの彼氏は中1の時からずっとあいつだから」
「はぁっ!?まだ同じヤツと付き合ってたのかよ。オマエさぁ…ハンパねぇバカ」
「煩いなぁ。放っといてよ。あれはあれで良いとこあるんだから」

ちょうど俺らが出会った頃、コイツが付き合ってた男はロクな男じゃなかった。そん時俺はコイツの妹の優希のカレシだったワケだけど、優希から聞く限り他にセフレがいたり貢ぐ女がいたりと、とにかくサイテーな男だった。それが現時点で同じグループの岬和也だったとは…開いた口が塞がらないとはこのことだ。

「ちょっと、お2人さん。俺だけ蚊帳の外ってヤなんだケド」
「あぁ…ごめんなさい。力は、妹が高校の時の彼氏」
「カレシつっても1年もやってねぇケド」
「あー、じゃぁとわわと義兄弟?」
「はぁっ!?」
「ユナちゃんの妹ってとわわのカノジョさんらしいケド」
「マジかよっ!?マジありえねぇ…」

優希は超が付くほどミーハーな女で。まぁ、それを知ってて付き合ってた俺も悪いっちゃぁ悪いんだケド。それがヤんなって別れたのが高1の終り。それから優希がドコで何をしてるかなんて聞きたいとも思わなかった。

「何でオマエ言わないワケ?」
「だって訊かなかったじゃん」
「そりゃそうだケド…」
「ってか、あたし力が和也と同じグループのメンバーだってこと知らなかったし」
「はぁー。もうイイや。優奈とそんな話で通じ合おうと思った俺がバカだった」
「でしょ?何年付き合ってんの?」
「だな。つーか、こんなトコでマキとメシ食ってて、サキいいのかよ?」
「あぁ、何かどうしても外せない先約があるらしくって」
「女じゃねぇの?」
「さぁ?でも友達だって言ってたよ。「マキとメシでも行っといで」って和也が言い出したことだし」

体良く使われたもんだな。と、哀れんだ目でマキを見ると、何だかニンマリと嬉しそうで。狙われてんぞ!と喉元まで出掛かったコトバをビールで流し込んだ。