「…あ」

目の前にはもう、寮の大きな扉があった。

悶々考えながら歩いていくうちに、たどり着いてしまったらしい。


「よいしょ…っとぉ!」

あたしはおもいっきり力を込めて扉を開けた。



ギギィ…――。




ゆっくりと、扉が開く。

まったく、錆びてるんじゃないの…?

重すぎだよ…この扉!



少しだけ空いた隙間から、体を滑り込ませる。



「えっと、あたしの部屋は…」

奥から三番目。


「いちにー、さん。っとぉ!ここだ」


危うく通りすぎてしまうところだった。

わかりづらいんだよね、この部屋…。

もっといい造りにしてほしいよね、色々と。


ブツブツと愚痴をこぼしながら、あたしはドアの鍵を開けようとした。

「…あれ?」


鍵が、空いてる??



まさか!泥棒!?

この寮の中で!?

なんて凄いんだ…泥棒さんは。

だけど!人のものを勝手に取るのは許せんっ!!

すまない、泥棒さん…あたしが逮捕するっ!


「……よし…」




あたしは、恐る恐る部屋のドアを開けた。


カ、チャ…――。