しかしそれを見たからと言って、彼の表情は変わらなかった
それどころか、笑っている
ニヒルに口元を歪め、この状況を見てどこか楽しそうな雰囲気の彼
「…んなの想定内だっつの」
冷静にかつ楽しそうにそう言い放ったは、怯えている様子なんて全くない
「テメェらみてぇな汚い族が喧嘩売ってきた瞬間こうなることぐらいわかってた」
そこまで言って彼は話すのを止めた
相手の返し方を待っているようだ
シンと静まりかえった辺りには、遠くから聞えてくる繁華街にいる人たちの声
そんな状況が数分続いた、
否、数秒だった
だが彼の醸し出す殺気が、時間を長く、長く感じさせた

