「…嫌だ!


あなたが好き!


…付き合ってよ、本物の彼女になりたいよ!」



気付けば、初対面の相手に叫んでた。


…多分、相当迷惑なやつ。

でも…







…目の前の彼は、スクッと立ち上がったかと思えば、

向かい側、あたしの座ってるソファーに近づいてきた。



…ポンッ


「…泣く女は嫌いだ。


面倒くせぇ。」



優しく頭を撫でてくれる彼の左手。



いつの間にか溢れていた涙を優しく拭ってくれる彼の右手。



…でも、言葉は、突き刺すように冷たい。






「…玲音、そー呼んで?」


あたしの瞳を見つめて、優しく微笑んだかと思えば、


…チュッ



触れるだけの優しく口づけをして、

すぐ離れていく。




「…玲音!」



そー叫んだ時には、彼は背中を向けて去っていた。