薬師 ―君の傷―




弱そうな岡崎先生の話は分かりやすかった。


弱そうなのは、やさしいだけなのかもしれない。


「つまり、佳奈さんのお母さんはあともって一年です」


その容姿からは想像がつかないくらい淀みなく言うから、あたしは素直に受け入れてしまった。


「彼女の病気のことはかなり前から分かっていましたので、いつもご家族の方を呼んでくださいと言っていたのですが、どうしても呼びたくない、と仰って……」


「でしょうね」


「え?」


あたしの返事が予想外だったのか岡崎先生は驚いたような声をもらした。


「あの人はあたしのことが嫌いなんです。家族だとも認めたくないんじゃないんですか?あたしだって、今日みたいなことが無ければ病気のことを知ることも無かっただろうし、病院に来ることも無かったと思います」


淡々と、事実を述べただけだった。


言っていて、改めて母があたしという存在を否定していた事を思い知って、少し泣きそうになったけど。












「そんなこと、ないです」


「慰めなんていらない!」


バァンと目の前にあった机を叩き、あたしは大きな声で怒鳴っていた。