薬師 ―君の傷―




道自体は知っているし、通ったこともある。


古い道で、両脇には懐かしい雰囲気の家。


そして道はコンクリートの起伏がある。


昭和の雰囲気を残したその町並みをあたしはひそかに気に入っていた。


気に入ったからこそ、あたしはそこに鳥居など無いことを知っている。


「いつの間にできたんだろう……?」


しばらく来ていなかったから見慣れないものがあっても不思議じゃない。


でも、鳥居って……


神社なんてすぐにできるもんじゃないだろ。


「……いこう」


見慣れないものがあればいきたくなるもの。


あたしはなんの違和感も抱かないまま鳥居をくぐることにした。