翌朝、私は打ち消し切れない胸騒ぎに、姉夫婦の家へと向かった。

 森本家は、昔から文人たちが多く住む、山の多い街にあった。

 昔からあったものをそのまま買い取り手直ししたのだと言う日本家屋風の家。

 鉢植えのたくさん置かれた庭は、心なしか荒れて見えた。

 外から見える限りでは電気は付いておらず、留守だろうかと思いながらも、一応インターホンを押した。

「姉さん、いないの」

 少し大きくした声で呼び掛けて見る。

「篤郎さん…………っ」

 呼び掛けた瞬間、がたんと家の置くから大きな音がした。