ああ、と私は呟いたつもりだったが、実際には吐息が零れただけのようである。

 真実を発見したというよりは、うすうす抱いていた疑惑に確証がもたらされたという感じだった。

 朝子は、もうどこにもいない。

 私は掃除をやめ、電話機を戻した。

 雑巾を戻すために洗面所に行き、私はぎくりとして立ち尽くした。

 鏡の中に映る私は、陽子であるはずの私の目で見ても、陽子ではなかった。

 もともと、よく似ている姉妹だと言われていた。

 陽子はいつも髪を結い上げていたが、ここに来てからは朝子と同じように下ろしたままだった。