「悟さん、お久しぶりです。」


声をかけてきたのは、体のラインを流れるような青いドレスをきた美女。


色気を放つ微笑みを悟君に向け、ちらっと私を見る。


誰だっけ…


「アメリカで素晴らしいご活躍をされたと父から伺いましたわ。ぜひアメリカのお話を聞かせて下さいませ。」


「そんな楽しい話はありませんよ。柏木さん。」
王子スマイルで答える。

そうだ柏木商事のお嬢様、柏木 冴子さん。

昔からパーティーの度、悟君に近づいてくる女性達の一人。


「父も伺いたいと言ってましたわ。あちらで是非…。」


またまたちらっとこちらに…目が恐い笑顔が…。

「悟さんとお話したいの、よろしくて?」


退けって言いたいのですね。
はいはい…了解です。

「柏木さん、お話するような事はありませんよ。菜緒に早く逢いたくて仕事してただけですから。」


私に甘い笑顔を向けさらに引き寄せる。


ぐぇ、苦しいんですけど…。