「……これを……」 近づいて匠の向かいの空席の椅子をよけてテーブルへ広げたのは、くしゃくしゃになって今にも破れそうなメモ紙だった。 「こ、これ……これって……」 震える手で、ゆっくりと掴みあげる。 少し油が染み込んでいるのか、端がぬるっとした。 「握ってた、のよ……」 真紀子は口を手で覆った。