真紀子の言葉は、語尾がかすれるように細かった。 言われた通り、匠の心は割れたガラスだった。 完璧に元の形に戻すのは、恐らくは困難なほどに。 「…………」 しばらく、雨音とTVの音とわずかな衣擦れだけが広間に響いていたが、 「分かりました」 秋が立ち上がって「そうしましょう」と承諾した。 そして3人は、飲みたいもののリクエストをとってから、急いで広間を出て行った――。