「……え?あ……うん。担当の田中浮夫(たなかうきお)です。うちの先生と同じ苗字だけど、親戚じゃあないんだ。たまたま同じなだけでね」 「ふうん」 それにしても、と田中――浮夫は話題を変えた。 「匠くんは、洞察力が凄いんだね。将来はいいミステリー作家になれるかも」 ははは、と快活に笑う彼に、匠はぶんぶんと首を振った。 「ならないよ。ボクには大事な夢があるんだもん」