「冷たいビール持ってこい。ついでにそこのお通夜みたいな坊主に、ジュースもな。子どもは体も小さい上に涙で水分使ってんだろ。放っておく気かお前ら」 宗の口から飛び出した、思わぬ冷静な状況判断。 ハッとしたように、全員が匠に目線を向けた。 「そ、そうですね。水分補給をしないと……先生」 「たしかに……ですね」 「俺はビールだぞビール。あと、マッチもな」 「宗先生、ジッポを自慢げにいつも持ってらしたでしょう?」 指摘されると、宗は決まりが悪そうに頭をかいた。