「包丁持って2階にあがる意味なんてそれ以外ないからな。リンゴが部屋にありゃあ別だがな。まあ、あったとしてもオイルポットの説明がつかんから、結局は『誰かさん』を殺して火でもつけて屋敷丸ごと燃やすつもりだったのかもなあ、おい」 宗が向けた視線の先は、秋らしかった。 「ぼ……僕、ですか?ま、まさか……」 たじろぐ秋に、宗は「わっはっはっは」と大笑いした。 「冗談だよ、冗談」 「そ、宗先生!不謹慎ですよ……」 浮夫がいさめるが、宗自身はそっぽを向いて頭をかくばかり。