「で、でも!油が階段の上から倒れていた踊り場まで染み込んでたんですよね?彼女の身体にも飛び散ってたし。オイルポットも落ちてましたし。持ってのぼっている最中、誤ってひっくり返り、刺さった……つまり、事故だとは考えられませんか?先生」 浮夫が、秋に意見を述べる。 匠の視線の端で、ワインをぐいっと飲み干した宗がニンマリと笑うのが見えた。 「だとしたら、お嬢ちゃんは誰かを殺すつもりだったのかもなあ」 「えっ……!?」 広間の空気が、一気に張りつめた。