「匠!匠ったら!」 掴まれた腕も、すぐさま振りほどく。 「うるさい!お母さんなんて呼んでない!熊でもない!お姉ちゃんを呼んでるんだ!邪魔……すんなあっ!!」 ベッドが激しくきしむ。 痛む足も気にせず毛布を蹴飛ばして、両手を振り回す。 動くたびに、涙が飛び散る。 ――お姉ちゃん!なんで!なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!