『では、皆さん。階段上がって左手にある広間のほうへ。浮夫さんは申し訳ないですが匠くんを抱えてきてくれますか。僕は一応、救急車を……あと、警察にも』 足音が忙しなくなり、ほどなくドアが開いた。 「匠……部屋、移動するわよ」 ――うるさい。 「匠くん。ぼくが運ぶよ。ほら、手を貸して」 ――うるさいうるさい。