「ううん……平仮名と片仮名だね」 パッと見た感じで、匠は真ん中の「にがイ」が言葉になっているのが気になった。 だが、最初の「エはし」は言葉に意味をなしていない。 「これが解けたら、ジュース持ってきてあげるね」 姫子はそう言って、カップのラテを喉にこくりと通す。 動けない今の匠にとっては、ちょうど喉も渇いたところで、願ってもない褒美なのだが。 「なんか、物で釣られてるような……」 「気のせいよ、気のせい」 「ア・ヤ・シ・イ……」 目を細めて、疑いをありったけ注ぎ込んだ光線を発する。