「たまたまだよ、たまたま」 大したことはないよという態度をとりながら、心の中で匠は踊っていた。 屈辱のギブアップだけは避けられたことにも、ホッとした。 解けずに答えを聞くはめになる事態ほど、悔しいことはない。 「ねえねえ。じゃあこれは?」 机からメモ紙をさらに一枚ちぎった姫子は、再びペンを走らせる。 渡された次なる迷宮問題は、先ほどの計算問題とは趣がまるで違っていた。