「ううん……。桜庭先生、どうしましょうか?」 浮夫が、困惑したような表情で真紀子を見やる。 助っ人を求めるなんて大人げない。 大人のくせに。 熊のくせに。 匠は露骨に口をへの字に変形させた。 「まあ、本人がこう言ってますし……。一度決めたら動かない子ですから、ね」 「そ、そうですか?じゃあ、そのようにうちの先生に伝えてきます」 匠は腕を軽く曲げてガッツポーズをする。 客室を出ていく浮夫を見送り、真紀子は長嘆息をついた。