━━Ⅱ━━ 「へえ。君の家が喫茶店なんだ~」 匠は、姉の姿を歩きながら横目で眺めた。 靴はパンプス。 手袋はしておらず、ふとポケットから細長いボイスレコーダーを取り出して電池の残量を確認し、すぐに戻した。 「はい。とってもこぢんまりしたものですけど、落ち着きますよ」 雑談を続けつつ、匠は「それはそうと」と話のハンドルをきる。 「はぐれた方と連絡取らなくていいんですか?」