「なんだ?アレってのは」 「まだ推理の残り香があるのかな?後学のために、教えて欲しいな」 ふたりに興味津々に迫られたが、実際はそれほど大した推理ではない。 匠自身も後から思い出した、ほんの些細な違和感だった。 「大階段にみんなが駆け付けたとき、あの人だけが『誰がこんなこと』って言ってたんだ。あのときは、まだ事故か殺されたのか分からなかったのにね」 「…………!!」 さらりと伝えた推理に、ふたりは言葉を失った。