「う、うるせえな。俺は最初から怪しいと思ってたんだよ。あの美女が」 「嘘だってバレバレだよ、おじさん」 見上げて匠が指摘すると、宗は「嘘じゃない!」とムキになって主張した。 武骨な手が降ってきて、乱暴に頭をかき回す。 「だったら、何が怪しかったの?」 「それは……ふ、雰囲気だ!犯人には特徴的な暗い雰囲気があるんだ」 「雰囲気ねえ……。やっぱりおじさん鈍いよ。『アレ』に気づいてないなんて」 意味ありげに、口の端を吊り上げてみせる。