鑑識や捜査員が行き交うエントランスで、宗が隣で現場を見上げる匠の背中を叩きながら笑った。 まだ少し、アルコールが残っているようだ。 「全くです。僕の企画より数倍難しかった謎を、こんな小さな子が解き明かすんですから。末恐ろしいです」 匠を挟んで立っている秋は、ため息交じりにつぶやいた。 「推理小説家の面目丸潰れってやつだな。こりゃあ愉快だ」 「先生も他人事じゃないですよ。僕と同じ推理小説家でいらっしゃるんですから……」