託すため、守るため。 その言葉を受け、匠は、真紀子に頼み込んだ。 「お母さん、ボクは大丈夫だから……。踊り場に連れてって……くれないかな」 「え……でも……。言ったでしょう?精神衛生上――」 お願いだから!と深く頭を下げ、両の拳を太ももで握りしめる。 「いっぱいあるから……。言わなきゃダメな、絶対絶対ダメな、ありがとうと、ごめんなさいが……!!」 まつ毛の先から涙がひと粒、またひと粒と床を弾く。