「デリカシーがないと思った途端これだもんなあ。やっぱり君って可愛いっ!」 「…………?」 まるで要領を得ない匠だったが、ともあれ姫子が喜んでいるならと、つられて顔が綻んだ。 「さて。じゃあお姉さんはちょっと行ってくるね」 匠を解放してくれた姫子が、バッグを漁りながら歩き出す。 「ふう。やれやれだ……」 ため息をついて、乱れたシャツを伸ばしていると、 「あっ。アレって」 匠は、ゆっくりと転がっていく小さな筒状のものに気づいた。