「おいおい……穏やかじゃねぇなあ、こんな美女がそんなこと考えてたのか」 宗が田中をうかがうが、まるで顔を上げる気配がない。 「どっちにしたって、とにかくグーにした。そうすれば、指も切れないし爪も守れるからね。この人、焦ったんじゃないかな?だから一回、あそこを離れたんだよ。怖くてじゃなくて――」 「うっ……!!」 想像が追いついたのか、香苗が目をぎゅっと閉じた。 「怖くてじゃなくて、『手首が切れる何か』を探すためにね」 。● What is this mysterious taste?