「た、匠くん!」 浮夫が再びおさえつけに立ち上がるが、匠はそれを制す。 「暴れないって。たださ、この人広間がめちゃくちゃ暑いはずのに『ずうっとカーディガンの袖伸ばしてた』から、折り曲げてあげようと思っただけだよ」 「…………!!」 広間の空気が、一瞬にして固まった。 皆、匠のひと言で悟ったのだろう。