「現場にはなかったからなあ、火のつく道具が。ジッポを失くしたのと時期を同じくしての事件発生。別の証拠もろとも燃やすつもりだったんなら、持ってるはずだと思ってな」 だろう?と匠を見遣る。 どうやら、同じ考えだったことを見透かしていたらしい。 「まあね」 「大方、焦らせば犯人が痺れを切らして強引に部屋から出る――ってシナリオで、のんべんだらり推理してやがったんだろう。本当にこれを持ってるか確証を得るためにな」 「ははっ。バレたか」 「ふん。ガキの分際で、小癪な真似しやがって」