「なんだって?犯人だって分かったのに、まだ違うって言うのか!!」 「匠くんっ!」 暴れる匠の肩が、熊のような手に後ろからおさえつけられる。 「しょ、証拠……そう、証拠!証拠、証拠、証拠!証拠がないじゃん!」 弾かれたように、田中が顔を上げて叫んだ。 つい1分前とは別の人間かと見紛うほど、震えは止まり、狂気に満ちた表情をしている。