「匠……や、やめなさいっ!」 真紀子が必死に止めにかかるも、こぼれた涙の滑る匠の手は田中を離さない。 「匠くん、ちょっと落ち着くんだ!」 椅子が鳴り、大きなゴツゴツした手が割って入った。 浮夫の圧倒的な力で、シャツから手がむしり取られる。 乱れた襟元を直しながら、田中は身を守るように自らを抱き、念仏のように口にした。 「アタシ……じゃ……ない」